同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~


「で?おまえは何があったんだ?」

槙野専務に急遽トラブルだと夕方から言われ、さらに1人で来いという。
何なんだと大慌てで駆けつけてみると、下で待つよう言われ、会社から連れ出された。

そして、気づけばこの間の小料理屋にいる…。

「というより専務。トラブルは…?」

「あー。あれはウソだ。」

「ウソ…ですか…。」

「この間のおまえの様子が気になってな。さあ。話せ。何があった?」

小料理屋のカウンター席で専務と肩を並べて座っている…。

こんな構図…
大阪じゃあさすがになかった…

「僕…なんかおかしかったっすか?」

「ああおかしかったね。全てにおいて投げやりだったな。大阪にいた頃のおまえはもっと…そうだな…未来を見てた。」

未来…?

「そうですか…まあたしかにいろいろあったんで…」

「女絡みか?」

「え?」

「図星だな…」

この人はほんとになんなんだろう?なんでこんなに何もかもがわかってしまうんだ?

「まあ…そうです。ずっと好きな女がいるんです。」

もういいやと思った。

だいたい仕事の関係者に自分の恋愛事情を話すなんて…ありえねぇって思ってたけど…
しかも…尊敬する槙野専務だ。

けど、俺も精神的に限界まできてたのかもしれない…。

長年演じ続けている高柳の友人って立場に…ほとほと嫌気がさしてたんだ…。

「なんか疲れたのかもしれません。そいつは俺を友達としか思ってなくて、それに3年も思い続けてるやつがいて…さらに別の人が現れて…もう俺は無理だなあ…って」

「ほう…」

専務は何か考えてるふうだった…。

しばらく黙り込んでいたけど…

突如として俺の肩をポンっとたたいた。


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