同期に恋してしまったら~友達からはじまる恋ってありますか?~
「あの…高柳さん。」

その日は、やっぱりどうやったって仕事がはかどらなくて、ほとんどすすまずに夕方になり、どうしたらいいかわからなくなって、ドリンクコーナーでブラックコーヒーをおなかに流し込んでいるところだった。

あ…白川さん。

「はい。どうしたの?」

なんとなく、にこにこしていてうれしそうな白川さん。

なにかいいことでもあったんだろうか?
もしかして向坂とうまくいったとか…?

「なにかいいことでもあった?」

内心びくびくしているくせに、出てくる言葉はこんな言葉だ。

「はい。」

ほら!やっぱり…

「わたし、高柳さんに、素直に一途に想ってたらいつか気持ちが通じるときくるよ。がんばって。って言ってもらったおかげで、ほんっとに夢のように幸せな出来事があったんです。」

やっぱりそうじゃん!

「勇気を出して、告白してみたんです。そしたら、その人もわたしのこと気になってたって…。」

やめて…もうそれ以上言わないで…
向坂とつきあうことになったとかそんなの聞きたくない…!

わたしは耳をふさぎたい気分で…
それでも、その続きを促すような言葉を紡いでしまうアラサー女の口って…

「そう…なんだ。それで、どうなったの?」

「それで、つきあうことになっちゃいました。ほんっとにありがとうございました。加瀬さんとこれからは別れないように全力をつくしますっ!」

は?
加瀬…さん?

「え?待って。加瀬?」

「はい。言ってませんでしたっけ?わたし。あ、うっかりしてました。わたしがずっと入社当時から好きだった人です。」


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