きらめく星と沈黙の月~番外編~
「ごめんって。あと30分寝かせて」


「もう…。碧ってそんなに朝弱かったっけ」


昔からいつも私より先に起きて活動してたのに。


高校生の頃は頼んでもないのに毎朝迎えに来て…。


懐かしいなぁ…。


あの頃の碧の面影を残した寝顔。


高校2年生の冬、選考会が不安で不安で寝られなかった碧の手を握ったことを思い出す。


あの時の碧の手…。


少し震えていて、異様に冷たかった。


責任感が強くて、自分を責める癖があり、何でも自分一人で背負い込みたがる。


メンタルがプレーに表れ苦戦することもあった。


そんな碧が今やプロのエースピッチャーだからなぁ。


自分を責めて追い込むこともなくなった。


碧の心の変化は、過ぎた年月の重みを象徴している。
< 32 / 44 >

この作品をシェア

pagetop