不純異性交際 -瀬川の場合-
再会
店内には、あたたかい色の落ち着いたライトが灯っている。
バンガローのような木造の内装が、確かに「カジュアル」だ。
テーブルもカウンターもあり、貸し切りだからどこに座っても良いようだ。
もうかなりの人数が集まっていて、平野いわくあと5~6人で揃うらしかった。
私たち4人は懐かしい同級生たちと久しぶりに挨拶を交わし、ひとまず同じテーブルに4人で腰掛けた。
まわりと談笑していると、ガラスのドアが開いた。
そこには、コウヘイ君と瀬川くんもいる…ーーー。
すかさずアンナが
「ミライ!ほら、コウヘイ君きたよ!」
とまぁまぁな声量で言うものだから、まわりの同級生たちはクスクス笑いながら私を見た。
「ちょっとアンナ、ほんとにやめて(笑)」
恥ずかしくなってうつむきがちに言うと、平野が私たちの席を指差している。
---…瀬川くんと目が合った。
私はどうにもこうにもドキドキしてしまって、アンナの腕をつかんで揺らす。
「もう~!アンナ、お願いだから静かにしててよ!?」
「分かったよぉ~~(笑)痛い、痛い(笑)」
そのうちに2人は私たちの席の前まで来てしまった。
「これからスタートの挨拶するってときに悪いんだけど、私このとおりだから顔だけ出しに来たんだよね。」
紗奈が自分のお腹を指差しながら平野に言う。
「うん、ミライちゃんから聞いてるよ!来てくれてありがとうね♪」
紗奈は意味深な微笑みを私に投げかけると、「それじゃあバラ組諸君、またねん!」と言って帰っていった。
紗奈が座っていた席が空き、自然な流れで瀬川くんとコウヘイくんも私たちのテーブル席に腰掛けた。私の向かいが瀬川くん、その隣がコウヘイ君だ。
いきなりこんなに近いなんて、緊張してしまう…。
悟られないように私はできるだけ自然に2人を見る。
「久しぶり。」
瀬川くんのほうからそう言ってくれて私は嬉しくなる。
隣ではコウヘイ君も「ちっす。」と言って頭をぺこりと下げた。
「瀬川くんもコウヘイ君も久しぶりぃ~~!待ってたよぉ~~!!ミライがね(笑)」
アンナがさっきよりも大きな声で言い、またまた周囲の同級生にクスクスと笑われてしまう。
「アンナ?ほんとに怒るよ」
「はぁい。ごめんちゃい。」
「思ってないでしょ?(笑)」
「あ、バレたか!」
私たちのやりとりを見て、瀬川くんもコウヘイ君も笑っている。
「でもホント、楽しみにしてた!」
私が言うと、「俺も」と瀬川くんが言い、合わせるようにコウヘイ君も「俺も」と言った。
アンナが笑いながら「俺も~♪」と言ったあと、平野が会場の中央で話し始めた。