不純異性交際 -瀬川の場合-
「はい、皆さん今日は集まってくれてありがとうございます!
ありがたいことに35名も集まりました!
今からスタートで2時間の貸し切りなので、パーッと楽しんで下さい。
そのあと行ける人は二次会も是非です。近くのダーツバーね。
それでは最初に飲み物を一気に聞きます~!」
平野はそう言い終えると、メモを取りながらテーブルごとにドリンクの希望を取っていく。
「ほんと平野ってマメだよね~」
アンナが声を発するまで私はボーッとしていた。
「そうだね、ありがたいよね」
奈美はそう言うと、ドリンクメニューを眺め出す。
「俺らはビール。そっちは?」
瀬川くんと目が合って、ドキッとしてしまう。
なにも意図はないだろうけれど、その視線は真っ直ぐで…瀬川くんのことを思いながら自分を慰めた事を思い出してしまう。
いかん、いかん。
私の目は完全に泳いでいるはずだ。
落ち着くために奈美の眺めているドリンクメニューを一緒に見る。
「私もビールかな!」
と答えると、アンナはピーチウーロン。奈美はカルアミルクと決まっていった。
「ジュースじゃん(笑)」
とコウヘイ君が笑うと、平野がこのテーブルにやってきた。
「はい、なに飲みますかぁ~」
「ビール3つと、ピーチ?なんだっけ?」
瀬川くんがこちらを見る。
「ピーチウーロンとカルアミルク~!」
アンナが答えると平野はささっとメモを取り、「あいよ♪」と去っていった。
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「全員来ましたか~?飲み物ない人、いませんねーっ?
では改めまして、記念すべき第一回、同窓会!楽しみましょう!
かんぱーーーーい!!」
平野の掛け声のあと、総勢35名が乾杯、と言ってグラスやジョッキを持ち上げる。
私は緊張をなんとかほぐそうと、生ビールをぐびっと勢いよく飲み込んだ。
「ほらほら、ミライ~~〜。コウヘイ君に聞きたいこととかさ、ないの?!」
またアンナが余計な口を出し、はしゃいでいる。
「なんでよぉ。アンナうるさいよぉ?」
と言いながらも、なんだか気恥ずかしくてコウヘイ君のことが見れない。
するとコウヘイ君が、「今どこに住んでるの?」と聞いてきた。
そこから何だかんだで会話は弾み、お酒も入ってだんだんとお店全体が騒がしくなる。
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私の緊張もすっかりとけて、いつもの調子で話せるようになった。
「コウヘイ君と私って、実際はほとんど話したことないよね(笑)」
「んー、そうだね(笑)」
「なのにバレンタインにチョコあげたり……なんか私って怖いね?!」
みんながアハハ!と笑う。
「でも、思春期の恋愛なんてそんなもんなんじゃない?」
奈美が言うと、アンナがまた大きな声で喋りだす。
「そういえばミライ、瀬川くんにすっごい会いたがってたよね?仲良かったもんねぇ〜」
…瀬川くんが私を見る。
「せ、席が隣だったしね!でも仲が良かったっていうより、いつも瀬川くんにからかわれてた感じだけど〜」
ドキドキしてるのがバレないように、平常心を装って答える。
瀬川くんは私の目をまっすぐ見て、「お前からかうの面白かったな」と言いながらクスリと笑った。