不純異性交際 -瀬川の場合-
便利な世の中になったもので、中学の同級生を集めたグループチャットなるものがあった。
そういえば、平野が何か言ってたな…!
急いでアプリを確認する。
[突然ですが、11月に同窓会をしませんか?
土曜日で考えています!
アンケートを取るので、都合のいい日程にチェックを入れてください。
よろしくお願いします!]
グループに参加している人数は70人ほど。
私は親の都合で中学3年の途中に転校してしまったけれど、紗奈を始めとするたくさんの友達は今でも変わらず仲良くしてくれている。
よく見ると平野の発言の下に、アンケート欄がくっついていた。
「紗奈どうするの?行く?」
「んー。ミライが行くなら顔出そうかなぁとは思ってるけど。あんたどうするの?」
「久しぶりにみんなに会いたいよねぇ。行こうかな〜」
「みんなじゃなくて、瀬川でしょ(笑)」
「ちがうよ!!ホントにみんなに会いたいもん!!マジで!」
「はいはい、じゃあそういうことにしておこう。でも私このお腹だし、酒飲めないし。気も使わせるだろうからさぁ。顔だけ出して帰るよ。」
「そうだよね。とにかくほかのメンバーにも出欠をとりましょっか」
私たちの言う"メンバー"とは、私と紗奈と、さらに3人いる親友の事。
仲良し5人組、通称『バラ組』のトークルームをひらいた。
[みんな、同窓会いく〜?サナは顔出す程度だけど、私は行こうと思ってるよ!]
バラ組というのはあの美しい”薔薇”の事ではなく、出身の小学校が"バラバラ"だからというバラ。
私とサナは同じ小学校だけど、ほかの3人はみんなバラバラなんだ。
いつのまにかこの仲良しグループについた名前で、中学生だった当時から私たちのことをバラ組と呼ぶ同級生も少なくない。
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まずはアンナから返事が返ってきた。
[えっ!ミライ行くの〜?!じゃあ私も行こっかなぁ(ハート)]
アンナは明るくてひょうきんな子。
でもその明るさの裏には色んな悩みや家族の不幸もあり、ここ1〜2年でかなり痩せてしまった。
最近はまた元気を取り戻したみたいだし、久しぶりに一緒に飲めるのは嬉しい。
「アンナ来るって!」
「お!いいねぇ。あと2人♪あと2人♪」
いつしか同窓会ということを忘れ、バラ組で集まれることに紗奈とテンションが上がる。
残りの2人からの返事はこうだった。
ケイ
[私は子供のバレーが忙しくて無理そう。行きたかったなぁ〜(><)]
奈美
[まだ休みが分かんないんだよね!行けそうなら行く〜!来月に入ったら連絡するね♪]
ケイはバラ組の中でも1番早く、18歳で結婚し、今では二児の母。
上の娘が始めたバレーボールの当番があるとかで、なんだか忙しそうだ。
奈美は美容師。去年子供を産んだけど、もう職場復帰している働き者だ。
ちなみに奈美の旦那さんも、瀬川くんと同じ"教師"である。
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「ケイはやっぱ来れないか〜」
パートと子育てに忙しいケイの不参加は、めずらしい事ではない。
「奈美は来れるといいね!」
このときは瀬川くんのこともそんなに大げさに考えていなくて、ただただ同窓会が楽しみでワクワクしていた。
「コウヘイ君は来るのかなぁ。」
私がぼやくと、紗奈がすかさずニヤリ顔を見せる。
「コウヘイ君も来るといいねぇ」
「変な意味じゃないからっ!!なんとなくだよ!」
「はいはい、なんとなくね(笑)」