欲情レイン
「キスって……へ、変なの」
「あんたがしたいって言ったんでしょ?」
「でも姉ちゃんの唇、やーらかい」
なんてヘラヘラと口元を緩めるから、急に私の方が気恥ずかしくなってくる。
無言。私達の間に静かな空気が流れたのはどの位だろうか。
「じゃ、じゃぁさ……」
先に沈黙を破ったのは私では無く弟の方だった。
弟はチラチラと私に目を向けながら、落ち着かない様子で両手をもじもじとさせる。
窓の外から水の音が耳に入った。部屋の中には、雨独特の湿った匂いが広がっている。
そういえば、髪も制服も乾かしてない事を思い出した。
ただの性に対する好奇心──。
たまたま1番身近にいた異性という存在なのは十分に理解している。
「もしかして、セックス?」
そう言って口元を緩めたのは私。