転生王女と侍の国づくり「仮題」
 民衆の集まりの中にリゼ王女の姿が見つけた兵士が焦りを感じ始めた。異人一人にたいしてこちらは10人近い数で当たっているにもかかわらず中々取り押さえることができないでいたからだった。
「ええい、何を手間取っているんだ」
 他の兵士とは着ている鎧があきらかに違う若い兵士が声を荒げる。兵士に命令を出している所を見るとこの兵士達の上司といったところだろうか。檄を受けて一層に気合い込める警備兵達であったが久遠を捕らえることは容易ではなかった。
 屈強な兵士の一人が長尺の棒を久遠目掛けて突き刺すも久遠はそれをひらりとかわして棒を掴むと古武術の要領で自分よりも大きな男をいとも簡単に投げ飛ばした。
「おおおお」と、民衆から歓声が上がった。
 民衆達から見ればもはや大衆劇のように目に映っていた。その要因として、久遠の容姿が美少年であり小柄であることもあったが、何よりも殺気がまるでなかったことも大きいだろう。実際に久遠は一度として、腰に下げている大太刀を抜いていない。
 久遠からしてみてもここで人を傷つけてしまう事のデメリットを理解していた。
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