転生王女と侍の国づくり「仮題」
催事を途中で放棄したいリゼではあったがそうも行かず、仕方なく手枷をはめた久遠を連れて行くことにした。催事が行われる場所の湖では神殿長が煌びやかな神官服に身を包み銀食器のポットを持って台座の上で今か今かとリゼの到着を待っていた。余りの遅さに苛立ちを覚えながら。
リゼが到着したのは予定よりも一時間以上は遅刻していた。
「遅い到着でしたね」
神殿長は頬を引きつりながらやさしい口調で嫌味で言った。そして護衛兼案内役の二人を睨みつける。睨まれた神官二人は肩をすくめた。
「やべえ。相当怒っているな」アルテラがもう一人の神官に言う。もう一人の神官は気が小さいのか怯えた様子で「どうしましょうか?」とアルテラに言う。アルテラは歯牙にもかけない様子でハハハっと笑う。
「気にするな、お𠮟りを受けてもどうせ飯抜きくらいだろうよ」
もう一人の神官は溜息をつく。
「本当にあなたはもと貴族なのかしら」と、呆れ顔を見せる。