転生王女と侍の国づくり「仮題」

　ヨハンはいつものように執務室に籠り政務を行っていると、誰かがドアをノックする音が聞こえた。ヨハンはまた仕事が増えるのかと、頭を抱えたくなる気持ちだった。ヨハンは王として威厳を保とうし、背筋を伸ばして、
「入りなさい」とドアの前に待つ人物を招いた。
「失礼します」
　そう言ってドアを開けて入ってきたのが娘のリゼだった。そのことに安堵したヨハンは伸ばしていた背筋を緩める。
　娘といえども王の政務中に邪魔をすることは許される事ではない。ヨハンは咳払いをして、
「何か用事でもあるのか？」と、少しきつい口調で言う。
　リゼはその紫色の瞳で真っ直ぐにヨハンの目を見据える。意思の強そうな瞳と紫色に光る瞳。その眼光にヨハンはタジタジになるのだった。