弱い僕だって、君の王子様になりたい

「花恋ちゃん！一緒に帰ろっ！！」

今日も退屈な授業を終えた僕は、クラスの人気者の有栖 花恋(ありす かれん)ちゃんにそっと目を移す。

僕はこの高校に入ってから、花恋ちゃんに恋をしていた。可愛くて、誰にでも優しくて……。

でも、僕には花恋ちゃんに告白する勇気がない。だから、花恋ちゃんに話しかける勇気もないまま高校3年生になってしまった。

「……」

僕が花恋ちゃんをぼんやりと見つめてると、花恋ちゃんと目が合う。花恋ちゃんは僕を少し見つめた後、にこりと笑った。

「……っ！」

花恋ちゃんの笑顔に、僕の胸は高鳴った。



「……私、鈴木 茜(すずき あかね)くんと一緒に劇をしたい！！」

数日後の教室で、急に花恋ちゃんが立ち上がってそう言った。

今、僕らのクラスでは文化祭の出し物について話し合っている。

「は？」

僕を含めた全員が、花恋ちゃんの言葉に驚く。花恋ちゃんは、真っ直ぐに僕を見つめた。

「……茜くん以外の人と劇をするのであれば、私は文化祭欠席します！！」

「え……」

花恋ちゃんの言葉に、僕らは何も言えなくなった。



「あなたは、私のお姫様。私と一緒に踊ってくれませんか？」

花恋ちゃんと半強制的に一緒に劇をすることになり、今日から練習が始まった。