弱い僕だって、君の王子様になりたい
……あれ?意外と呼び捨てでも行ける……。

花恋ちゃん……じゃなくて、花恋は嬉しそうに顔を真っ赤にさせて笑った。



「……私だけのお姫様……私と恋人になってはくれませんか?」

文化祭本番。僕と花恋が主役の劇の最後の方。

僕がセリフを言って手を差し出すと、花恋は「王子……」と僕を見つめた。

「……どうか、私を幸せにしてください……私は、あなた以外の人と結婚する気はありません」

そう言って花恋は顔を真っ赤にさせながら、僕の手を掴む。

……ん?そんなセリフ、なかったと思うけど……そうか……これって、もしかして……花恋のアドリブ?

「……えぇ。一生幸せにしてみせます……あなたは、私だけのお姫様ですから……」

僕は台本にはなかったセリフを口にすると、花恋に皆にバレないようにそっとキスを落とした。
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