愛してしまったので離婚してください
「これは俺も確信がないけど、組織を採取した時に少し血液も採れたんだ。もしかしたら腫瘍の周りに筋肉の組織が炎症を起こしていて、出血があるかもしれない。腫瘍の周りに血の膜が張っている可能性を考えると、腫瘍自体の大きさは2.3㎝よりも小さい可能性もある。」
雅はまっすぐに私を見つめたまま話をする。
「通常であればこの箇所の腫瘍は、悪いものでなければそのままにすることもある。筋肉を縦に切開して腫瘍部分をとると、日常生活に戻るまでリハビリにも時間がかかるのと、手術をして組織を刺激することで、また何か腫瘍や血腫ができてしまう可能性もある。手術をするためには、それなりのリスクとメリットを考える必要があって、患者さんの生活を考えて俺はいつも判断してる。」
医師としての雅の経験や、今までどんな努力をしてきたか、私は今は知っているつもりだ。
だからこそ、雅の言葉を信じている。嘘や間違いはない、事実だと受け止めなくてはならないと思いながら話の続きに慎重に耳を傾ける。
「でも、今回はもっと判断が難しい状況にある。」
雅は少し険しい表情になりながら、組織検査の結果だという用紙を私の方に向けた。
「数値から見ても、今、晶のお腹にある腫瘍は悪性の腫瘍で、もしかしたらひとつではないかもしれない。放っておくと命に関わるものだってわかった。」
雅は検査結果の用紙を、医師の机に置くと、私の前に膝をついてしゃがんだ。
雅はまっすぐに私を見つめたまま話をする。
「通常であればこの箇所の腫瘍は、悪いものでなければそのままにすることもある。筋肉を縦に切開して腫瘍部分をとると、日常生活に戻るまでリハビリにも時間がかかるのと、手術をして組織を刺激することで、また何か腫瘍や血腫ができてしまう可能性もある。手術をするためには、それなりのリスクとメリットを考える必要があって、患者さんの生活を考えて俺はいつも判断してる。」
医師としての雅の経験や、今までどんな努力をしてきたか、私は今は知っているつもりだ。
だからこそ、雅の言葉を信じている。嘘や間違いはない、事実だと受け止めなくてはならないと思いながら話の続きに慎重に耳を傾ける。
「でも、今回はもっと判断が難しい状況にある。」
雅は少し険しい表情になりながら、組織検査の結果だという用紙を私の方に向けた。
「数値から見ても、今、晶のお腹にある腫瘍は悪性の腫瘍で、もしかしたらひとつではないかもしれない。放っておくと命に関わるものだってわかった。」
雅は検査結果の用紙を、医師の机に置くと、私の前に膝をついてしゃがんだ。