愛してしまったので離婚してください
「あの日から俺は晶に惹かれてた。強引じゃなく、さりげなく、俺を考えて思いやって、必要なことを教えてくれる、晶に。」
「私は何もして」
「いつだって温かい家、あたたかい料理、ふかふかの布団と洗い立てのタオル。口にしてないのに、どんどん俺の好みになる料理の味付け。淹れてくれるコーヒーだっていつの間にか俺の好みそのものの味になってて。」
ニューヨークの家を思い出す。

あの日々を思い出す。

「ちゃんと晶の想いは伝わってた。うれしかった。あのお見合いの日から俺はどんどんと晶に惹かれていった。」
「私は・・・何もしてないのに・・・」
「それは違う。俺が証明する。」
微笑みと共に雅は私に口づける。

「何か食べようか。」
「・・・はい」
雅の言葉に私は頷き、微笑み返す。

「やっと笑ってくれた。」
嬉しそうな雅の表情に私は一瞬だけ、ほんの一瞬だけ自分の体のことを忘れられた。
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