愛してしまったので離婚してください
「俺も正直怖い。」
雅がそっと私のお腹に両手をまわす。
包み込むように私のお腹に触れる雅。

「晶の命とこの子の命。二人の命を救えるのは、未来を守れるのは、俺だって思ってる。留学して外科医として経験を積んだからじゃない。誰よりも二人への想いが強いから、救いたい、守りたいっていう想いが強いから、だから。」
私は雅に自分の体をゆだねるように、寄りかかる。
「でも怖い。もしもって最悪な状況を考える。」
「・・・」
「晶の妊娠と、体の状況を知った時、この子の命をあきらめることも考えた。・・・ごめん。」
私を気遣って雅はすぐに謝る。

この人は本当に相手を想って、言葉を選んで口にする人なんだと思いながら、話を聞く。
そんな雅にとって、今こうしてありのままの想いを私に話すことはたやすいことじゃないんだと思う。

だからこそ心に響く。
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