愛してしまったので離婚してください
「ごめんな。」
雅はお腹の赤ちゃんに向かっても謝り始める。
まだ生まれていない命。
まだまだ小さな小さな命には聞こえているかなんてわからない。
それでも気遣って謝る雅の表情は切なく辛そうで、私はまた涙が溢れた。

私だって同じだ。

命が芽生えた瞬間喜んで、お腹の腫瘍を知った時、もしもこの命をうんだら、雅との未来が消えてしまうかもしれないと思った。

一瞬そう、考えた。

もしもこの命をあきらめたら、雅との未来があるかもしれないということを。

「何度も何度も考えて、それでもこの子の命も晶の命もあきらめられなかった。どちらかなんて選べないくらい、もう俺の中ではこの子の存在も大きくなってた。」
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