愛してしまったので離婚してください
「なんで晶なんだよって、信じてもいない神様を責めたりいろいろ考えた。これは夢であってほしいとか、もしも腫瘍があるのが自分だったらよかったとか。もしもって。」
ふっと笑いながら雅は恥ずかしそうにうつむく。

「意外と女々しいだろ?俺。」
「全然。」
私はうれしい。
雅のありのままの不器用な言葉が。

今の私には一番の薬のように思う。

「うれしい。雅・・・の言葉を聞けるのが。」

この5日間で私たちは敬語をつかわなくなった。
詳しくは、私が雅を『雅さん』と呼ばなくなった。そして敬語を使うのをやめた。
これは私たちの仲が深まったからだけじゃない。
雅の不器用な言葉をもっと聞きたい。そのために必要な前進だと思ったからだ。
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