愛してしまったので離婚してください
私の立てた物音に目を覚ましたのだろう。
雅がソファから立ち上がる音がして、私は少し緊張しながら瞳を閉じたままでいた。

雅はそっと私の方に近づき、点滴が絡まないように確認したり、機械のチェックをしているようだった。

そして・・・


急に彼の息遣いが近づいたかと思うと、私の唇に温かく優しい何かが触れた。

思わず開きそうになる瞳を必死に閉じたままにする。


次の瞬間、私の髪を優しくなでる大きく温かい感覚まで感じた私は、目を閉じることだけじゃなく、涙をこらえることにも集中しなくてはならなくなった。
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