愛してしまったので離婚してください
雅が私に渡してきたのは・・・

あの夜、私が雅からもらった結婚指輪とペアの指輪だった。

「本当はあの夜からずっと持ってたんだ。仕事柄、ずっとつけてるわけにはいかないけど、でもずっと持ってた。」

この指輪をずっとつけられずに、私にも見せずに持っていた雅の気持ちを考えると心が痛んで涙が溢れる。

私が離婚を告げたあの夜から、雅はずっと出せずにいたんだ。

「ごめんね・・・ごめんなさい・・・私があの夜・・・」
「違う。晶、それは違う。」
泣きながら渡された指輪を抱きしめてうつむく私。
雅は私の手を包み込むように握る。

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