愛してしまったので離婚してください
「大丈夫」
何度も私に向けて言ってくれていた雅の言葉。
おまじないのように、私はその言葉を忘れないようにと、ギュッと胸の前に手を握りしめた。

「うん」
「行こうか」
私のタイミングを待って、雅は前に一緒に歩き出してくれる。
「うん」
緊張して、うまく歩けない私の手をギュッと握ってくれている雅の手は熱いくらいの熱を持っている。

その手の薬指には私とペアの指輪が光っている。

私は雅の運転する車にのり、病院へと向かった。

病院に着くと数名の看護師と共に、私の両親が待っていてくれた。

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