愛してしまったので離婚してください
両親は私に何も言わない。

でも母の表情からは大きな不安を感じる。
父の表情からは、なんと声をかけたらよいかわからない戸惑いが見える。

言葉がなくても、伝わってくる両親の想いも抱きしめながら、私は雅に支えられて病室へ向かった。

改めて入院のスケジュールや、これからの治療について話を聞く私。
雅も、いつの間にか白衣に着替えて私に帝王切開と一緒にする腫瘍の除去手術について説明してくれた。

「頑張りましょう」
医師として言う雅に頷きながら、私は父の方を見た。

父も私の手術に立ち会ってくれる。

「よろしくお願いします。」
私は父に、頭を下げる。
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