愛してしまったので離婚してください
「晶」

愛する人の声に、重い重いまぶたを開ける。

「晶」

何度も何度も私の名前を呼ぶ愛する人は少し疲れた表情をしている。


早く愛する人に触れたくて、重い瞼を開けながら私は手を伸ばす。

瞼よりも手を伸ばすほうが自由が効いて、すぐに動かせる。

「晶」
何度も私の名前を呼ぶ愛する人が、私の手をすぐにつかんでくれる。

この誰よりも熱い手はほかの誰でもない。


雅の手だ。
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