愛してしまったので離婚してください
「バカだな。いつだって晶は自分のこと以上に俺のことを考えて・・・我慢して・・・」
そう言いかけた雅の瞳が真っ赤になる。

きっと雅は父から手紙を預かって読んだのだろう。

「言っただろ？愛してるから一緒にいるんだよ。愛してるから離れないんだよ。これからも一生、愛している。ずっと一緒にいよう。もう、離れない。俺、離れてやらないからな。」
雅の瞳から涙が流れて、私も涙が溢れた。
初めて見る、雅の涙はあまりにきれいで私の心に大きく響くものがある。

「あの時の離れていた時間が今すごく惜しい。晶がどれだけ我慢して、寂しい想いをして、医者としての俺を守ってくれていたか、あの時の俺に教えられるのならば一発殴りたいくらいだ。」
「・・・でも・・・だから・・・私を救ってくれた・・・」
まだうまく話ができずとぎれとぎれになってしまう私の言葉をちゃんと聞いてくれた雅の瞳からはまた新しい涙が伝う。

「愛してる。晶。どうようもなく晶を、愛してる。」
繋いでいる手が熱いのは、雅の手が熱いからだけじゃない。
私の手に雅の熱が伝わり、同じように熱を持っているからだ。
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