愛してしまったので離婚してください
「これから晶にはリハビリが待ってる。赤ちゃんの退院と晶の退院、どっちが早いか勝負だな。」
「・・・うん・・・」
赤ちゃんのいるNICUは厳しく面会時間が決められているらしく、雅はその日の一番最後の面会時間に合わせて私を連れて行ってくれると言った。
まだ体を起こせない私は、高い背の支えが付いた車いすに乗せてもらう予定だ。

面会時間が待ち遠しくて仕方ない私のそばから離れずに、雅は話をしながらその時まで付き合ってくれている。

「何が食べたい?何がしたい?どこに行きたい?なんだって叶えたい。ちゃんとデートしたこと少ないからさ、デートいっぱいしたい。」
雅が無邪気に微笑みながら話を続ける。

今までは私たちは遠慮をしていた。
私の体がどうなるかわからなかった。赤ちゃんも、無事に産まれてこられるかわからなかった。
だから、私たちは未来の話をあまりしないようにしていた。
< 231 / 251 >

この作品をシェア

pagetop