愛してしまったので離婚してください
NICUの面会時間になると、雅は私が移動できるようにいろいろと用意をしてくれた。

お姫様抱っこで専用の車椅子に乗せてもらい、階の違う赤ちゃんのもとへ向かう。

少しだけきれてきた麻酔に、傷口が痛んだ。
それでも、会いたいという一心で私は車いすのバーを強く握り痛みに耐える。

「もうすぐ会えるな。」
雅も微笑みながらエレベーターのインジケーターを見つめ、赤ちゃんに近づいていることに嬉しそうだった。

消毒をしたり、手を洗ったり、専用のエプロンをつけて、私と雅はNICUの中にやっと入れた。

そこには保育器がいくつも並んでいて私は我が子のいる保育器を探す。

「いた」
雅はすぐに私たちの赤ちゃんを見つけて、嬉しそうに微笑みながら私の車いすをすすめる。
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