愛してしまったので離婚してください
必要以上に手を貸さないのは、赤ちゃんとの生活に私自身が大丈夫なように、考えてくれているのだろう。
雅は今日から一週間、病院を休んでくれる。
ただ、院長でもある今、緊急の呼び出しは回避できない状態だ。
だからこそ、私と赤ちゃんでも大丈夫なように、考えてくれている。

病院は最近かなり人気がでて、雅は多忙な日々を送っていた。

私も赤ちゃんも病院にいる状態だから、毎日顔をあわせられていたようなもので、連日難しいオペをいくつも抱えている。全国から、雅の手術を希望する患者さんでいっぱいなことは病院に入院しながら、実際に肌で感じた。

「痛い・・・」
やっと車に乗り込めた私。
助手席で背を丸めながらお腹の痛みが過ぎ去るのを待とうとしていると、運転席に乗り込んだ雅が私の背中をぽんとたたいた。

「痛い時ほど、筋肉を伸ばす。背中を伸ばして、大きく深呼吸をする。それから、お腹を冷やさない。」
医者の顔をしながら私の丸めていた背中を伸ばし、後部座席から自分の上着を取り、私のお腹にかけてくれる雅。
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