桜色の歌と君。
語りかけるように、丁寧に紡がれる歌声は、濁りのない切実さがあって、心にすっと染み渡る。それは宮野くんの歌い方と似ていた。
曲が終わっても私たちはイヤホンを外さず、余韻に浸るように黙って遠くを見つめていた。
知らなかった。誰かと一緒に聴く歌が、こんなにも心地よく心を揺らすなんて。
「良い曲だね。」
ややあって、ぽつりと言葉を零した私の横で宮野くんが静かに頷く。
宮野くんは何も口にしなかったけれど、二人の間に流れる沈黙は、言葉で表すことのできない何かで満ちているようだった。
言葉を交わさなくても、一緒に聴いた音楽の素晴らしさも、情動も、心に描いた景色も、何もかも二人で共有しているように思えた。
誰かと音楽を聴く楽しさを、私は今、生まれて初めて知ったのだ。
私たちはしばらく風の音に耳を澄ませて、春の温度を肌に感じていた。
曲が終わっても私たちはイヤホンを外さず、余韻に浸るように黙って遠くを見つめていた。
知らなかった。誰かと一緒に聴く歌が、こんなにも心地よく心を揺らすなんて。
「良い曲だね。」
ややあって、ぽつりと言葉を零した私の横で宮野くんが静かに頷く。
宮野くんは何も口にしなかったけれど、二人の間に流れる沈黙は、言葉で表すことのできない何かで満ちているようだった。
言葉を交わさなくても、一緒に聴いた音楽の素晴らしさも、情動も、心に描いた景色も、何もかも二人で共有しているように思えた。
誰かと音楽を聴く楽しさを、私は今、生まれて初めて知ったのだ。
私たちはしばらく風の音に耳を澄ませて、春の温度を肌に感じていた。