桜色の歌と君。
次の日、教室に入ってすぐに宮野くんの姿を探したが、まだ来ていないようだった。少し早く着いたからか、五人ぐらいしか登校していなかった。

少しがっかりしたような、ほっとしたような、相反する気持ちを抱えて席に座る。

鞄から取り出した教科書とノートを机にしまってしまうと、何もやることがなくなってしまって、窓の外に視線をやった。

窓に近い席で良かった。廊下側の席はあまり好きじゃない。

今日の空は、白い雲がたくさん浮かんでいる。昨日よりも少し淡くて薄い青色に浮かぶ白は、対照的に色濃くはっきりとした輪郭をしている。

いつもよりも雲の流れが速いな。

そんなことを思いながら空を眺めていると、急に眠たくなってきた。ぼうっとする頭と、眠気に身を任せてしまおうとした時だった。
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