ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
曲が流れた瞬間精悍な顔つきになる新條。
持ち前の運動神経を発揮して、十六ビートのキレキレダンスをする。
はためく赤いロングジャケット。
演出でステージから吹き上がる炎。
飛び散る光る汗。
気持ちがこもった伸びやかな歌声。
テレビの向こうの新條と、目が合う。
――『本来の先輩にもいいところがたくさんあるんですよ』
その言葉が聞こえた気がした。
元気が湧いてくる。
寝転んでいた律は無意識のうちに起き上がっていた。
――現役の時の私って、こんなに人々を惹きつけ、元気づけられてた?
律は自問する。答えはすぐに出た。
――できてなかったよね……。
律にとっては苦手なことだった。新條はそれが得意なのだ。律にはない、アイドルとして大事なものを新條は持っている。
熱いパフォーマンスはあっという間に終わりを告げた。音楽が拍手に変わると新條は深々とお辞儀をする。
食い入るように画面を見ていた律は、こう思う。
悔しいけど、私よりずっとアイドルだ。新條こそ、正真正銘のアイドルだ。熱愛報道が出ても、ファンが離れない訳が解った。私にとって苦手なことこそが、アイドルとして一番大事なことだったんだ。私がアイドル一位にまで登りつめることができたのは、他で一生懸命その欠点をカバーしてたからかもしれない。でも、アイドルとしてやり直すなら苦手なままではダメだ、克服しないといけないんだ……。
持ち前の運動神経を発揮して、十六ビートのキレキレダンスをする。
はためく赤いロングジャケット。
演出でステージから吹き上がる炎。
飛び散る光る汗。
気持ちがこもった伸びやかな歌声。
テレビの向こうの新條と、目が合う。
――『本来の先輩にもいいところがたくさんあるんですよ』
その言葉が聞こえた気がした。
元気が湧いてくる。
寝転んでいた律は無意識のうちに起き上がっていた。
――現役の時の私って、こんなに人々を惹きつけ、元気づけられてた?
律は自問する。答えはすぐに出た。
――できてなかったよね……。
律にとっては苦手なことだった。新條はそれが得意なのだ。律にはない、アイドルとして大事なものを新條は持っている。
熱いパフォーマンスはあっという間に終わりを告げた。音楽が拍手に変わると新條は深々とお辞儀をする。
食い入るように画面を見ていた律は、こう思う。
悔しいけど、私よりずっとアイドルだ。新條こそ、正真正銘のアイドルだ。熱愛報道が出ても、ファンが離れない訳が解った。私にとって苦手なことこそが、アイドルとして一番大事なことだったんだ。私がアイドル一位にまで登りつめることができたのは、他で一生懸命その欠点をカバーしてたからかもしれない。でも、アイドルとしてやり直すなら苦手なままではダメだ、克服しないといけないんだ……。