ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
そういって皆を落ち着かせた新條は背筋をピンと伸ばし、カメラに向く。
そしてCMに入る直前に叫んだ。
「悪いのは俺です。俺が辞めますから、先輩をアイドルに復帰させてあげて下さい!」
律は、テレビに向かって呟く。
「あんな真剣になって……正真正銘のアホだ」
呆気にとられていると、傍にある律のスマートフォンが立て続けに軽快な音を奏でた。メッセージの着信だ。
送ってきたのはなんと、前の学校の友人やFlower Moonのメンバー。どのメッセージにも、新條との仲を疑っていたことに対する謝罪の言葉が綴られていた。
――やっと、やっと、分かってくれたんだね。
世界中の人々が敵になったような絶望と緊張感から解放された律は、スマートフォンを握りしめたまま、画面をそっと額に当てた。
******
次の日の早朝、律はアラームより早く鳴った着信音で目が覚めた。
「もしもし……」
眠たい目を擦りながら、寝起きの声で電話に出る。
「ワシじゃ」
「そ、その声は……っ」
律は、驚きすぎて心臓が止まるかと思った。
電話をかけてきたのは、律が四か月前まで所属していた事務所の社長だ。七十八歳とご高齢であるため所属タレントはしばしば労わるが、その度に「ワシを年寄り扱いするな」と怒り出す頑固な性格の人だ。
そしてCMに入る直前に叫んだ。
「悪いのは俺です。俺が辞めますから、先輩をアイドルに復帰させてあげて下さい!」
律は、テレビに向かって呟く。
「あんな真剣になって……正真正銘のアホだ」
呆気にとられていると、傍にある律のスマートフォンが立て続けに軽快な音を奏でた。メッセージの着信だ。
送ってきたのはなんと、前の学校の友人やFlower Moonのメンバー。どのメッセージにも、新條との仲を疑っていたことに対する謝罪の言葉が綴られていた。
――やっと、やっと、分かってくれたんだね。
世界中の人々が敵になったような絶望と緊張感から解放された律は、スマートフォンを握りしめたまま、画面をそっと額に当てた。
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次の日の早朝、律はアラームより早く鳴った着信音で目が覚めた。
「もしもし……」
眠たい目を擦りながら、寝起きの声で電話に出る。
「ワシじゃ」
「そ、その声は……っ」
律は、驚きすぎて心臓が止まるかと思った。
電話をかけてきたのは、律が四か月前まで所属していた事務所の社長だ。七十八歳とご高齢であるため所属タレントはしばしば労わるが、その度に「ワシを年寄り扱いするな」と怒り出す頑固な性格の人だ。