ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
「ギャァァァ! ワァァァ! ギャァァァ!」

 律の絶叫は、平日の閑散とした首都高に響き渡ったのだった。
 空港に到着した頃には、律はげっそりしていた。

「あ……りがとう……ござい……ましたぁ……」

 だが休んでいる暇はない。律は車を降りてすぐに走り出した。
 はるな先生に後ろから質問を投げかけられる。

「進路希望調査、そろそろ書けそうかしら?」
「はい!」

 走りながら顔だけ後ろに向け、元気よく答えた。


******


 律は一階ロビーを走り抜ける。
 この広い空港のどこにいるだろうか。飛行機の出発はまだでも、搭乗口まで行ってしまっていたら会えない。

 どうか間に合ってほしいと願う。
 いつからだろう、律は何気ない瞬間も新條の事ばかりを考えてた。
 新條のことを好きになるなんて、天地がひっくり返ってもありえないと思っていたのに。

 ――あんなに恨んでいたはずの相手を好きだなんて、私はどうかしてるかな。

 「一緒にアメリカに連れてって」とも、「日本で待ってる」とも言うつもりはない。
 目標に向かって進んでいく新條の邪魔をしたくない、ダンスの修行に専念して欲しいのだ。

 ――新條のこと、必ず笑って送り出すから、だから、一つだけ伝えさせてよ。
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