ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
「なーんか急にさっぱりしたくなったんで、切りましたぁ! カッコイイっしょ?」

 律が喋り始めたばかりなのに、新條はいきなり遮った。さらにおどけた言い方で、笑い飛ばしてくる。さっぱりしたくなったなんて、嘘だと簡単に分かった。

 そんな嘘をつくということは、やはり律の髪に関係が……。だがそれを悟られまいと気に掛けてくれている。ここは気付かないフリをしていよう、と律は思った。

「自分でかっこいいって言う? ふつー」
「冗談、冗談」

 それに、短髪も爽やかで似合ってるな、とも思った。

「先輩も髪切ったんですね。眼鏡外してるし……ってか何でここに先輩が?」
「……新條に、言いたいことがあって来たんだ」

 律は呼吸を整えて新條の目を見据える。

「私……私……」

 緊張して、言いよどむ律。
 一度深呼吸し、心を決めた。

「新條のおかげで、進路を決めれた! アイドルには復帰しない! 将来アイドル専属の振付師になって、自分のように絶望した子がいたら支えてあげたいの!」

 堂々と宣言する。

 新條は「俺のおかげ……?」と一瞬よくわかってなさそうな顔をしたが、すぐに納得した様子で言った。

「よかったです。応援しますその夢。俺は、一年間ヒップホップの世界チャンピオンのもとで、修行してきます」
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