ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 律もいまいち分からない。ただ騒がしいだけで腹を立てているとしたら、怒りす
ぎだ。

 まるで私の悪口を言う女子に私に代わって怒ってくれたみたいだけど……、それはありえないし……、と思った。律と新條が親しい仲ならともかく、初対面なのだからこんな事をする理由がない。
 ただ、このような事態になったのは自分がきっかけだということは、はっきりとわかる。

 ――私は、ダンス会議に来るべきではなかったんだ。

 後悔するがもう遅い。
 このままだと新條とペアになってしまう。

 ――嫌だ。嫌だ。嫌だ。

 新條はさっき椅子を蹴ったことなどけろりと忘れた顔で、律の元へやってきた。

「先輩、よろしくお願いします」
「嫌だ」

 律は俯き、拒絶した。

「え?」
「嫌だああああぁぁぁああああああああ!」

 そして強い嫌悪感から絶叫し、新條を両手で突き放し、会議室を飛び出したのだった。
 
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