ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
「あと、そうね、ここももっとこうして……」

 次々に振りが浮かんできて、ツーエイト全てに振りを付けることが出来た。

「どう?」
「……」

 新條は目を丸くして見ている。

 律はハッとして思った。ただの一般人が即興で振り付けするなんて、不自然だよね。久々のダンスにワクワクして、ついついやりすぎちゃった。やっちゃったー!

 しかし、新條の口から予想外の言葉が飛び出す。

「……すげぇ! めちゃくちゃ良いっすね!」

 手放しで褒められ、律は戸惑った。自分を肯定されるなんて、この四か月間全くなかったことだ。どういう表情をすればいいのか悩んだ挙句、曖昧な笑みを浮かべた。

 遅刻してきたペアが何組もいたため、ダンス会議は予定より遅れて始まった。どのペアも、振りのアイデアが浮かばず時間がオーバーしてしまったらしい。

 最後にやってきたペアから順番に、考えてきた振りをダンス係全員の前で披露していくことになった。

 緊張して動き固いペア、リズム感がないペア、考えてきた振りを忘れてしまったペア等々……抜きんでたペアはおらずどれも団栗の背比べだ。ダンスに限ったことではないが、ゼロから創造するのはとても難しいものである。経験がないなら尚更のことだ。

 最後、律と新條の番がきた。
< 25 / 130 >

この作品をシェア

pagetop