ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
律は頭を抱えてこんなことを考えた。
ちょっと待ってよ、こんな下手に出てくるの、私だけってことなの? 皆に対しては生意気な態度で接してるのぉ? なにそれ逆に怖い。……まさか、正体がバレてる? いや、それは断じてない。だって南野ひかりに対してそんな下手に出る理由がないもん。それに、新條がもし私の正体に気付いたら、真っ先に言ってくるに決まってる。
「ねぇねぇ月影さん、ここ、こうで合ってる?」
踊りながら律に尋ねてきた深川さん。動きは合っているが遠慮がちで手の動作が小さい。
「ここは……」
深川さんの手を取ろうとした直前、律はそれをやめた。
――近い。いくらなんでも近すぎ。こんなに近くで教えたら正体がバレるかも。
怯える律の背中を押したのは、新條だった。
「先輩、出番ですよ」
「新條が教えてあげなよ」
「俺は無理ですよ。教えるの下手クソなんで」
「アイドルだったらこれくらい教えられなくてどうする!」
私じゃなきゃダメな訳がない。そう思っているはずなのに、
「このダンスを教えられるのは、先輩しかいません」
そう言われると、律は心のどこかでワクワクしてきてしまう。
ダンスが好きだという気持ちが抑えられない。
――もっと良くなるのに、このままにしとくなんて勿体ない。私が教えてあげたい!
「……ここはね、こうして、もっと大胆にやった方が良いよ」
「ああ! なるほど!」
律がアドバイスすると、深川さんの表情がぱぁっと明るくなった。
ダンスってこんなに楽しいものだったっけ。律はそんなことを考えながら、深川さんに手取り足取り振りを教えた。
ちょっと待ってよ、こんな下手に出てくるの、私だけってことなの? 皆に対しては生意気な態度で接してるのぉ? なにそれ逆に怖い。……まさか、正体がバレてる? いや、それは断じてない。だって南野ひかりに対してそんな下手に出る理由がないもん。それに、新條がもし私の正体に気付いたら、真っ先に言ってくるに決まってる。
「ねぇねぇ月影さん、ここ、こうで合ってる?」
踊りながら律に尋ねてきた深川さん。動きは合っているが遠慮がちで手の動作が小さい。
「ここは……」
深川さんの手を取ろうとした直前、律はそれをやめた。
――近い。いくらなんでも近すぎ。こんなに近くで教えたら正体がバレるかも。
怯える律の背中を押したのは、新條だった。
「先輩、出番ですよ」
「新條が教えてあげなよ」
「俺は無理ですよ。教えるの下手クソなんで」
「アイドルだったらこれくらい教えられなくてどうする!」
私じゃなきゃダメな訳がない。そう思っているはずなのに、
「このダンスを教えられるのは、先輩しかいません」
そう言われると、律は心のどこかでワクワクしてきてしまう。
ダンスが好きだという気持ちが抑えられない。
――もっと良くなるのに、このままにしとくなんて勿体ない。私が教えてあげたい!
「……ここはね、こうして、もっと大胆にやった方が良いよ」
「ああ! なるほど!」
律がアドバイスすると、深川さんの表情がぱぁっと明るくなった。
ダンスってこんなに楽しいものだったっけ。律はそんなことを考えながら、深川さんに手取り足取り振りを教えた。