ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
こもれびベーカリーは、若い女性に人気沸騰中のパン屋だ。律も食べてみたいと思っていた。だが店は芸能関係者もよく訪れる通りにあり、正体がバレる危険性が高すぎて買いに行けない。それでも食べたくて調べてみたが、デリバリーや通販はやっていなかった。
――もしかして、この機会を逃したら一生食べられないかも?
「ちょ、ちょっと待って! そんなに言うなら、食べてあげてもいいのよ!」
律は新條を引き留めてしまい、顔がカッと赤くなるくらい恥ずかしくなった。さっきまであんなに突っぱねていたのに不自然すぎると気付いたのだ。「先輩も美味しいものには敵わないんですねー」なんて新條に笑いながら言われたら恥だ……と思った。
ところが新條は、馬鹿にすることはなかった。
「そうこなくっちゃ」
ただこの瞬間に舞い降りた奇跡に喜びを感じている……そんな顔をしている。
律は教室に戻るのが億劫になり、新條が胡坐をかいて座るベンチに腰を下ろした。もちろん、距離をとって隅の方に。
「何でそんなに離れて座るんですか」
「うるさいな」
早く食べてダンスの振り付けをしなくてはいけないのだが、中庭は人気がなく静かな過ごしやすい場所で、ついのんびりしたい気分になってくる。
――もしかして、この機会を逃したら一生食べられないかも?
「ちょ、ちょっと待って! そんなに言うなら、食べてあげてもいいのよ!」
律は新條を引き留めてしまい、顔がカッと赤くなるくらい恥ずかしくなった。さっきまであんなに突っぱねていたのに不自然すぎると気付いたのだ。「先輩も美味しいものには敵わないんですねー」なんて新條に笑いながら言われたら恥だ……と思った。
ところが新條は、馬鹿にすることはなかった。
「そうこなくっちゃ」
ただこの瞬間に舞い降りた奇跡に喜びを感じている……そんな顔をしている。
律は教室に戻るのが億劫になり、新條が胡坐をかいて座るベンチに腰を下ろした。もちろん、距離をとって隅の方に。
「何でそんなに離れて座るんですか」
「うるさいな」
早く食べてダンスの振り付けをしなくてはいけないのだが、中庭は人気がなく静かな過ごしやすい場所で、ついのんびりしたい気分になってくる。