ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 紙袋を開けると、バターの香りが広がる。一気に食欲をそそられた。
 メロンパン、フレンチトースト、チョココロネ、フルーツデニッシュ……色んな種類を買ってあるが全て女の子が好きそうなチョイス。律が大好きなやつばかりだ。

 ――どれにしようかな。どれも美味しそうだな。

 迷いつつ、律はその中からメロンパンを選んで、頬張る。
 外側はサクサク、内側はふんわりとした食感。ほんのり甘い。

「ん~。おいひぃ」

 お腹が満たされていく。間違いない、律が今まで食べたメロンパンの中で一番美味しい。

「あー腹減った。俺も弁当食お」

 新條は歯で割り箸を咥えてパキッと割った。不躾に見えるこの動作も新條がすると粋に見える。不思議だ。

 律がもぐもぐしているのを、新條は弁当を食べながら嬉しそうに眺めている。
 ずっと見られていると気持ちが落ち着かず、何でもいいから話さなきゃ、と思った。

「女子の好みをよく知ってるんだね。彼女にでもリサーチしたのかな」
「かっ、カノジョ?」

 律が何気なく言ったことに、新條は過剰に反応した。

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