ダンスの新星！！～私の秘密は元トップアイドル～
「こうして全員外側に移動してー」

　今度は手慣れた様子でバク転する。

「真ん中にいる奴がこんな風にド派手に決めるッ！」
「わはっ」

　律は、新條の超越した発想と行動に思わず噴き出した。

　――アホだ。正真正銘のアホだ。　

　皆がそんな難しい技が出来るとは限らない。かなり無茶苦茶なアイデアだ。フォーメーションのことが分かっていないどころの話ではない。何故こんな奴が男性アイドル人気ナンバーワンなのか律には全く理解できないが……、一緒にいると不思議と笑えてくる。

「なっ、なんで笑うんですかぁ」

　本人は至って真剣なのだろう、だからこそ余計に面白い。まったく、さっき食べたもの全部戻しちゃっても知らないんだから。そんなことを思いながら、律はお腹を抱えて笑った。

「フォーメーションは抜きで、最初から一番のサビまで踊るからチェックして」

　ダンスのテーマは『煌めき』。

　昨日のダンス会議で、誰もがキラキラと輝けるダンスを創ろう、ということになりそのテーマに決まった。

　テーマに沿うように、一晩で考えられるだけ振りを考えてきた。
　Flower Moonが踊る元の振りとは全然違うものにするのが難しかったが……。
　新條はこの振りを見てどう思うだろうか。
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