ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 律が見た目と味のギャップに混乱して怪訝な顔をしているからか、新條は心配そうに聞いてくる。

 素直になれない律はこう答えた。

「悪くないよ」

 未だに、新條が優しくしてくれる理由は分かっていない。企みはなさそうだが……本当にただの親切心でお弁当まで作ってくるだろうか?

 律が疑いの目で見ていることに気付いたのか、新條は突然こう言った。

「先輩がどんな容姿だろうと気にしませんよ。ただ、痩せすぎは良くないです! 栄養失調で死んで欲しくないんで!」

 そう言われても、大袈裟すぎるし怪しいのだが。

「理由は本当にそれだけ?」
「ええと、実は……」

 新條は言いにくそうにした。律は、そうかやっぱり裏があるんだ、と思い続きの言葉を待つ。

「俺、先輩と仲良くなりたいんです!」

 新條は照れくさそうに、人差し指で鼻の下を撫でた。

「……私と、仲良く? 何でよ、おかしいでしょ……こんな私と、仲良くなんて……」

 意外過ぎる言葉に驚いた律は、視線を泳がせたり髪を耳にかけたりして落ち着きのない仕草を繰り返す。

「おかしくないですよ、出会ったばかりでも、先輩が素敵な人だってわかります」

 真っ直ぐな言葉。それは律をドキッとさせた。

 ――何で私、ドキッとしてるのよ!
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