ダンスの新星！！～私の秘密は元トップアイドル～
　さっきまで司会進行をしていた深川さんが、答える。すると校長は、威圧的に言い放った。

「別の曲に変更しなさい」
「ええっ？」「何で？」その場がざわついた。

　律は新條と顔を見合わせる。

「生徒手帳の校則のページに『男女交際禁止』と記載があるのを知らないのか。うちの生徒とスキャンダルが出た相手の曲を使うわけにはいかない。観客は、我が校が二人の交際を容認しているように受け取るかもしれないからな。そうなっては我が校のイメージダウンに繋がる。曲選びは毎年生徒に自由にさせていたが、これだけは許すわけにはいかない」

　律は即座に生徒手帳をめくった。
　『男女交際禁止』と確かに記載がある。
　古くさいルールだなぁ、と律は思った。

　校長は威圧的に続ける。

「心配しなくても代替案はちゃんと考えてある。人気演歌歌手の青春の仲間節だ」

　――せっかく頑張って振りを付けたのに。無かったことになるのは嫌だ……。

　隣に座っていた新條が立ち上がった。

「熱愛報道は捏造だから、曲を変える必要ねーよ！」

　だが校長は聞く耳を持たず、去っていってしまった。

「南野ひかりが歌ってようとダイヤモンドガールは良い曲だから踊りたかった」
「青春の仲間節は嫌だ」「今時、男女交際禁止の校則なんて時代遅れだよなぁ」

　皆、口々に言っている。
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