ダンスの新星！！～私の秘密は元トップアイドル～

「……この人のこと、どう思う？」

　ダンス係のペアになってから色々ありすぎて、新條が良い奴なのかどうなのか自分では判断できない。

　何も知らないお父さんとお母さんならきっと、的確に判断してくれる。名前を出さなくてもきっと、「その人はろくでなしだ」とか、って言ってくれる。そこでやっと私は確信が持てるんだ、新條を信じちゃダメなんだって。

　律はそういう思いだった。ところが。

「律のためにそこまで行動してくれるなんて、とっても誠実な人ねぇ！　これからも仲良くするのよ」
「真っ直ぐな良い人じゃないか。新條とは大違いだな！」

　両親はまさかの大絶賛。転校して間もない娘の身近に、良い人がいてくれてよかった――そんな風に思っているようだ。

　お父さんお母さん。本当はね、今の話に出てきた人は新條なの……。
　律はそう言いたくても言い出せなかった。物凄く新條を嫌っている二人が知ったら、衝撃でぶっ倒れてしまうかもしれない。

　律はさっさとお風呂に入ることにした。湯船につかりながら考える。

　――新條が誠実なわけないっ。
　――ダンスの振り付けを新たに考えるのが怠いだけだっ。
　――ダイヤモンドガールを褒めてたのもただの気まぐれだっ。
　――署名運動もすぐやめるに決まってるッ！