ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 作戦Bとは……理事長を褒めて褒めて褒めちぎる作戦のことで、ここに来るまでに新條が提案してきた作戦のうちの一つだ。
 うんうんと皆頷く。

「コソコソ何を話しているのですか?」
「理事長、パンフレットの写真より、実物の方が美人だよなーって話してたんだよ」

 新條の歯の浮くような台詞で、理事長は目が点になった。

「こんな絶世の美女が俺たちの学校の理事長だなんて、誇りに思うっス!」

 小松くんもオーバーすぎる程に褒める。

「お若いですよねー。おいくつですか? 三十歳くらい?」

 深川さんもなかなかのわざとらしさだ。

 ちょっとみんな~、クサすぎる台詞は疑われるよ~っ。そう思った律は、

「お肌綺麗ですね。スキンケアはどこのメーカー使ってるのか教えてください!」

 ほどほどにヨイショしておいた。
 律の後にも、皆、思いついた褒め言葉をポンポンと言っていく。

「今度他校の奴らに自慢しようぜ! なっ!」

 最後に皆笑顔で、新條の台詞にうんうんと頷いた。

 ちょっとは心に響いてるといいけど……と思いながら律は固唾を飲む。
 理事長の口元が緩んだ。

「まったく……。ダンスを見せなさい。その出来栄え次第ですね」

 ――よしっ! 作戦B成功、第一関門突破だ! 
< 64 / 130 >

この作品をシェア

pagetop