ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 自分を怒らせるためにわざと雑誌を破いたのか。律は新條の胸ぐらから手を離した。
 新條は立ち上がり、律の方へ向き直る。
 そして姿勢を正した。

「俺、先輩に出会った時から尊敬してます」

 その眼差しは真剣そのもの。

「四か月前のあの日引き止めた理由は、先輩にこのことを伝えたかったからなんです。二人きりで話できるチャンスなんて二度とないと思ってましたから」
「嘘よ。腕を掴んだ理由を正当化したいだけじゃないの」

 新條が自分に尊敬しているなんて、ありえないと思った。
 アイドル時代の律にとって新條は、絶対に負けたくない存在だった。ヤンチャなキャラの新條がアイドルランキング一位ということが、全く理解できなかったからだ。尊敬とは程遠い。  

 新條も正反対のキャラだった南野ひかりに対して、同じ気持ちでいるだろうと思い込んでいる。
 疑う律に、新條はわずかな躊躇いもなく返した。

「嘘じゃないですよ」

 そして、続けた。
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