ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 二連覇でストップして良かった、アイドル辞めてくれてよかった~と笑いあう女子達。 

「どうせ、裏表激しい性格の南野ひかりなんてすぐフラれるよ。気にしない気にしない」

 裏表激しいなんて誤解だと言い返したかったが、そんなことはできない。どんなことがあろうと、正体を隠さないといけないから。

 話が聞こえるだけで疲れるなぁ、やれやれだよ。今後は、昼休みを教室で過ごすのはやめよう、どこか別の場所で静かに過ごしたいな。
 そう思った律は、お弁当を半分以上残し、五限目の授業がある教室に行こうと席を立つ。

 落ち込んでいた女子は、いつの間にか顔を上げていた。

「私……アサヒくんのことは諦めきれない」
「そう、その意気だよ。私たちもアサヒくんの応援辞めることなんてできないし」

 誹謗中傷されるのは自業自得、理想のアイドルになれなかった自分はクズだと律は思っている。
 でも納得がいかないこともあった。

 片や芸能界を引退した一般人、片や現役のトップアイドル。熱愛報道の当事者同士なのにこうも違うことだ。

 ――もーやってらんない。芸能界なんてうんざりだ。二度と関わりたくない。アイドルだったことを忘れたいよ。
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