ダンスの新星!!~私の秘密は元トップアイドル~
 もう練習できるのは明日しかない。そろそろ潮時だろうと思った律は、「もう少しシンプルなやつに変えようかと……」

 と、はるな先生に相談した。

「完成までもうちょっとじゃない! ここで諦めちゃダメよ!」

 もうちょっと? そうだろうか。

「みんなー、気を取り直して、もう一回よー!」
「「おー!」」

 はるな先生の掛け声に、皆、元気よく返事をする。やる気が漲っている。律はなんだが、ジーンときた。

 ――みんながその気なら、このまま突き進むしかないよね。

 数回練習しただけで休み時間がやってきて、今日のところはダンスの練習は終了となった。律はずっとダンスの練習をしたいたい気分だったが、他の種目の練習もしないといけない。次の時間は綱引きと玉入れの練習だ。

「手が空いてる人ー、体育倉庫から綱引きと玉入れで使うものを運ぶの協力してくれるー?」

 はるな先生が生徒達に叫んでいる。律は暇だったので、数人の生徒同様体育倉庫に行くことにした。

 一番に綱引きの綱が目についたので、持ってみる。うわ、重たい、一人で運ぶのは無理かもしれない……と思っていると。

「貸して」

 いつの間にか隣にいた新條が、律から綱を?っ攫い運び始める。

「うわぁっ新條!」
「……幽霊見た時みたいな反応しないでくれませんか」
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