幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「ありがとう。美羽ちゃんの可愛い表情に癒されるよ」

なんてキラキラオーラ全開で言うから、ムカついた。


お世辞でも嬉しくないから!

っていうか、お世辞ってことが分かっているから嬉しくない!


そう、春馬くんに伝えたのに。



「なんで? 美羽ちゃん可愛いって、噂広がっているのに」



なんて、笑えない冗談をぶちかましてくるから、全力で睨んだ。

だけど。



「あ、その表情も可愛い」



なんて言うから、デコピンした。

もう、春馬くんったらプレイボーイすぎる。

私にはその甘い口説き文句も効かないけどね。


なんて思っていると、次は唯斗くんの声が降ってくる。



「バスケの練習しないのか?」

「だって。ボールないもん」



そういうと、唯斗くんは一つため息をついて、サラサラな髪の毛をかき上げた。

それから、唯斗くんは背負っていた鞄からボールが入ったビニール袋を取り出した。


……さっきから、唯斗くんの鞄が異様に大きいな、と思っていたけど、バスケのボールが入っているからか。

いつも持ち歩いているなんて、恐るべし。
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