幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
「ほら。なに、ボケーッとしているんだ。練習するんだろ?」



いつの間にか、唯斗くんの手は私の腕から離れていて。

ボールをバウンドさせながらゴールまで歩いている。


す、すごい。

私、ドリブルも出来ないのに。

唯斗くんはそれを簡単にやって見せるからすごい。



「春馬くんは? 練習しないの?」



春馬くんに顔を向けると、春馬くんは柔らかく微笑んでいて。

だけど、少し気だるそうで。

眠そうで。

あくびをしながら言った。



「僕は借り物競争に出るからね。バスケはやらないよ」

「みんなで練習したら楽しいのに」

「見ているのも楽しいから」



春馬くんは鞄をベンチに置いて、その隣に座った。
< 111 / 345 >

この作品をシェア

pagetop