幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
そんな春馬くんの言葉に、唯斗くんの眉がピクッと動く。


怒ったのかな?

……バスケ本気でやっている唯斗くんにしたら、不純な動機は嫌なんだろうな。


私はそんな唯斗くんから逃げるように、転がっていったボールを拾いに行った。



「美羽」



唯斗くんの私を呼ぶ声が聞こえる。

ボールをつかまえた私は振り返って唯斗くんに視線を向ける。

唯斗くんは真剣な表情で。

だけど、その目には、なにか強い意志みたいのがあって。

鋭い眼力とは違う、力強さがあった。



「……負けないからな」

「え?」

「南條には負けないから」



な、なんの話?

南條くん?

なんで、ここで南條くんが出てくるの?



「体育祭、絶対に勝つから」



じゃあ、唯斗くんもバスケの試合に出るってこと?

強敵じゃん。

それに、南條くんに負けないって……。
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