幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
なにされるのだろうか……、と、冷や冷やしていると、春馬くんは私の後ろに回った。

そしてそのまま、抱きしめられた。

頭がフリーズする。


え、待って。

なにこの状況。

春馬くんがこんな公衆の面前で私を抱きしめている。


ざわめく教室。

廊下からも悲鳴が上がっていた。



「……春馬くん」

「なぁに?」

「ここ、日本だから」

「だから?」

「ハグして挨拶する文化はないの。だから離れて」



冷静に。

とにかく冷静でいたかった。

そしたら周りの女子たちに『抱きつかれているけれど、私たちはただの幼なじみです』ってアピールできると思ったから。

だけど、そんな簡単にこの場が収まるはずもなく。
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