幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
『なにあの女! 生意気!』なんて、逆効果を与えてしまった。

……やっぱり、私はバカなのかもしれない。


はぁ、と、心の中でため息。

幼なじみと同じ学校なのは嬉しいけど、私のエンジョイ高校生活が壊れてしまったら最悪。

もう、すでに壊れ始めている気がするけど。



「有村さん」



突然、名前を呼ばれてハッとする。


南條くんっ!

南條くんに声をかけてもらった!


るんるん気分になった私は、春馬くんが私を抱きしめていることや、唯斗くんの不機嫌オーラ、女子たちの鬼の形相は、すっかり頭の中から消えた。



「どうしたのっ?」



テンションが一気に上がった私。

南條くんは爽やかな風に包まれながら、私に向かって話しかけている。

やっぱり、今日は朝から幸せかもしれない。
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